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2016.08.11

山登りの想い出

8月11日(木) 山の日

Photo
【N君(左)との記念写真、セピア色にしてみた】

今日は「山の日」。初めて山に登った想い出を書いてみよう。
10代の終わりの頃、夜学に通っていた友人と初めて登ったのが「霊仙山」という1000メートルちょっとの山だった。

友人のN君は登山経験者で誘われるようにK君と自分の3人での日帰り登山だった。
あれは初秋の頃だったと思う。
日帰りの軽い気持ちで、ジーンズとパーカー(もっともあの頃はGパンとヤッケと言ってたが)、靴だって登山用品とは程遠い軽装だった。

N君とK君は一つ年上で3人で手作り同人誌などを作って詩とか小説とか散文などを書いていた気心の知れた夜学仲間だった。

そのN君の「山は素晴らしいよ」という言葉につられた日帰り登山、けっこう汗もかきながら山頂に立ったのは午後を少しまわった頃だった。
天気にも恵まれて、用意した昼飯も食べ、たしかに素晴らしい秋の日だと、ついウトウトと午後の惰眠をむさぼってしまった。

日帰り登山と気楽に考えたのがいけなかった。日が傾きかけたのをみたN君が、慌てて下山を促し、3人で登り口とは反対の下山道を下ることにした。
初心者のK君と自分は気楽なものである。さほど気にすることもなく、ちょっとクマザサが増えたかなぁ~という程度だったが、唯一の経験者N君は不安気な顔であった。

クマザサも伸びて、下山道を覆うほどになったとき、さすがにN君も「道を間違えたかも知れない」と言いだした。
それでも、たしかに道らしい痕は残っているので、いまさら引き返せない、とにかくこの「道らしき」ものに沿って進もうとなった。

陽はますます傾き、すっかり薄暗くなった頃には、たかが1000メートルじゃないかという強気も引っ込み始め、どれほど進んだのかどの辺りかも皆目見当がつかなくなってしまった。

どこかで野宿にでもなるだろうと少し腹をくくり、道なき道を下へ下へと、今思うと無謀な下山であった。
食料も水も服装もハイキング程度で精根尽き果てたころにはすっかり暗くなっていた。

もうダメだから野宿でもしようかと相談してたとき、遠くにポツリと灯りが見えた。
たしかに灯りのように思われたので、そこまで直線で下山しようと、暗闇のなかを道なき道をひたすら行進することになった。

どれほど歩いたのだろうか?灯りは民家の街灯だったのを知ったときは3人とも安堵感でいっぱいになり、疲れもどっと出た。
民家の戸をたたき「霊仙山」から今降りてきたこところだと話すと、親切におにぎりとみそ汁を出してもらった。午後の8時を過ぎたころだったと思う。

ここら辺りは、ときどき獣道に迷い込んむ登山者があるのだと教えてもらい、車で近くの国鉄(現JR)醒ヶ井駅まで送ってもらった。
あの時の親切な民家の方、腹ペコでヘトヘトの心身にとって、なんとおにぎりの美味しかったことかと、今でも忘れられない想い出である。

天気が良い日だったこと、暗闇の下山だったがケガもしなかったこと、親切な民家にたどり着けたこと、思えば幸運が重なって大事にはいたらなかったが、山はナメたらだめだということである。

それ以来、服装や装備、持ち物などは十分に気を配るようになった。
槍ヶ岳の山頂から眺める日の出も、燕岳の満天の星空も、激変する気候で雷雨見舞われ「死ぬか」と思った富士山も、いくつか登ったりしたが、山の素晴らしさを知る原点になったのが、この霊仙山の初日帰り登山での経験であった。

仲の良かったN君やK君らとは卒業後別々の人生を歩むこととなった。
今頃どうしているのだろうかと、ふと思い出す。
生きていれば、それぞれ歳を重ね白髪交じりの日々を過ごしているはずだ。

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コメント

まあ本当に大変な思いをされたんですね。若かったから民家にたどり着けたけど高齢なら無理だったかもしれませんね。

投稿: 杉山 | 2016.08.13 20:18

こんばんは。

山登りデビューのお話。楽しく読ませていただきました。
目に見えるようです。

きつくてきつくて何でこんな苦しい思いまでして登るんだろうって思うのですが、登ってしまうともうそんな気持ちはどこかへ消えてしまいますよね。

投稿: tami | 2016.08.13 22:55

杉山さんこんばんは。
高齢の登山者が増えている昨今ですね。
あの頃の登山のリュック一つとっても重かった(笑)。
今は装備も軽くなり山が身近になったとも言えますが、滑落で亡くなった先輩もいて、自然の脅威は侮れないと、心底思っています。

投稿: ちょっと一休み | 2016.08.15 01:27

tamiさんこんばんは。
木々にさえぎられて視界も目の前の登山道、そのうちパッと視界が開けて、ああここまで登ってきたんだと実感するとき、辛さも忘れる。
その瞬間が何とも言えないですね。アルプスの3000メートル級の山々は別世界だと思えますよ。

投稿: ちょっと一休み | 2016.08.15 01:39

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