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2013.10.31

みかん色

10月31日(木) 神無月も過ぎ去って・・・

020

 壁のカレンダーがもう残り2枚になる。
 陽の落ちるのも早くなり、少し肌寒い夜はストーブさえ恋しくなる。
 ほんの少し前までは夏のような気候の日もあったと思うと、一年があっという間に過ぎる。

 「一年が早い!」と毎年のように言い続けて、もう何十年と歳を重ねている。
 歳をとると、昔のことを思いだすことが増える。
 ノスタルジックに暮らしていると老けるのも早いかも知れない。

 食卓の上のペーパー工作で作った籠にみかんが置かれている。
 どこにでもある光景だが、ちょっと粒が小さく甘いみかんは売れ行きがいい。
 食事の後や風呂上りや、誰かが手を出して食べているから、山盛りのみかんも減ってゆく。
 みかんにも当たり外れがある。外れのみかんはいつまでも残りつづける。

 子どもの頃はみかんは箱買いしてあった。
 おやつでありデザートであり小腹の空いた子どものお腹を満たす万能のくだものだった。
 オレンジもグレープフルーツもなかった時代の安価な柑橘系の代表だった。
 炬燵の上にみかんが山盛りに置かれている居間は日本の代表的な庶民風景だったと思う。

 食卓のみかんがほんのりと暖かい色をしている。
 昨日のそれよりも、たしかに数が減って、誰かが暇をみつけて食しているのだろう。
 「団欒」という言葉が死語となり、みなそれぞれの生活に四苦八苦しながら暮らしている。
 そんなみかんが、一つ減り二つ減りして、知らぬ間にまた新しいみかんの山ができる。
 みかんの色は暖かくていい。

 芥川龍之介の小説に「蜜柑」という短編がある。
 高校生のとき、この作品を読んでとても感激した記憶がある。
 「みかん」の暖かな色はほのぼのとしていい。
 懐かしさと愛情がしみじみと伝わってくる「蜜柑」、短時間で読める珠玉の短編小説だった。

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