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2013.05.23

あうん(阿吽)

5月23日(木) 荒子観音に円空の仁王像を見に行った話

008
【円空の仁王像、狭い格子越しになんとかレンズを向けて】


 「あうんの呼吸」
 二人が一つの事をなすときに、絶妙なタイミングや同じ気持ちになるときに使われる言葉だけれど、なぜ「あうん」と言われるのか?
 仏教用語というわけで、サンスクリット語の「阿」は口を開き「吽」は閉じて発音する、つまり呼気吸気が合わさったということで、「あうん(阿吽)の呼吸」

 山門でよく見かける二体の仁王像、一体は阿形で大きく口を開き、もう一体は吽形で口をつぐんでいる。
 そういう解説書を読むとなるほど、二体が絶妙なバランスで、仏を守り煩悩を持った人間を威嚇しているわけだ。

 なるほどなぁ~、山門に限らず狛犬とかシーサーとか、対で置かれている像の類は、おおまかそういう意味があったんだ。
 まあ、夫婦というものも家庭や暮らしについて「あうんの呼吸」が成立すれば、すばらしいのだが・・・

002
【荒子観音の山門、道路標識に邪魔されて多宝塔】

 ・・・というわけで、今日は家事の合間をぬって、名古屋市中川区の荒子観音へと自転車散歩。
 30度を超える名古屋、またまた日焼けした。
 ゆっくりと出かけるには手ごろな距離で、これまでも何回か来ているが、今日は目的を持ってやってきた。

 円空作の仁王像を見るためだ。
 仏閣めぐりってものも、ちょっと予習があると、見慣れた山門もまた違って見えるからおもしろい。
 荒子観音の山門に置かれている円空の仁王像は、1680年ごろというから、今から330年ほど前のものになる。

 狭い格子ガラスから暗い山門のなかを覗くと、ありましたねぇ~。
 円空の作としては最大の3メートルほどの仁王像。
 想像していたとおりの、荒削りで力強い、それでいてなんだか親しみのもてる仁王像だった。

 運慶とか鎌倉期の人型に近いリアルな形相とは異なって、やはり庶民的・・・、前衛的芸術の仏像と円空仏を見ることもたしかに出来るが、この素朴であって親しみのあるところが僕は好きだが。

 この山門の左奥に多宝塔が建っている。
 このなかに円空の千体以上の木っ端仏が置かれているというが、残念ながら毎月第二土曜日にしか一般公開されないらしい。
 これは、次回の愉しみとなった。

 こういうことは事前に調べて出かけるのが、旅慣れた遊び上手な人の「当たり前」のこと。
 しかし、散歩というのは「行き当たりばったり」というのも悪いものではない、予期せぬ出来事は、よい事も悪いことも、それなりに味があるということだと思う。

 ここは妻の職場に近い。
 ちょうど昼休憩が終わりの頃だから、ひとつメールでもしてみようと思った。
 「いま、荒子観音に来てるねん」
 「へぇぇ~暇なんだねぇ~」
 「暇ちがうねん、健康管理だっせ」(ちょっと言葉を脚色してるが・・・)
 といったやりとりで、「阿吽の呼吸」とはほど遠いが、まあ、いいか。

 梅原猛という人の「歓喜する円空」(新潮社)を読んでいる。
 「梅原日本学」と言われるだけあって、円空研究著書としては、なかなか面白い。
 以前「日本仏教をゆく」という本を読んだのが最初のこの人の本だった。仏教の手引書としてはとても分かりやすかった。

 円空を日本の仏教思想家として位置付けて研究しているのは、なかなか説得力に溢れている。
 円空仏の庶民性とでもいおうか、そういう漂泊の旅と仏像作りの思想のようなものがよく分かる。
 梅原猛という方は哲学者なんですね、そういえば大江健三郎さんらが発起人になってる「9条の会」の発起人の一人でもあったと思ったが・・・

 仏教などほとんど無縁の暮らしでこの歳まできたから、新しい事柄というのは、なかなか新鮮な興味を持てるものだ。
 ところがどうしたわけか「歓喜する円空」を読みはじめると、いつも心地よい睡魔がやってくる。
 つまらない本は眠くなるというのが相場だが、この本はおもしろい、おもしろいのに眠くなる。

 ひょっとしたら自分が死ぬときには、こういう心地よい眠りにつけるのではと思うと、「まどろみの円空」だなぁと思うのである。(笑)
 
 
 
  

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コメント

円空の仁王像はちっとも怖くないところが、いいなぁ・・・・

投稿: マミケン | 2013.05.27 12:31

怖くない仁王像ですね、怖そうな木仏も他にはありますが。
ほんとうに12万体も彫ったのか、現存するのは数千体と言われてます。
でも、ほんとうだと思います、ただ明治の廃仏毀釈と民衆の暮らしに溶け込んで、あちこちに行ったんだと思います。
仰々しい仏像とは違う円空仏だからこそ、人々に愛されたんだと。

投稿: ちょっと一休み | 2013.05.27 22:26

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