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2012.12.11

カーラジオで聞いてた「小沢昭一の小沢昭一的こころ」

12月11日(火) 小沢昭一さんは好きだった

 朝、新聞を広げて小沢昭一さんの訃報を知った。
 僕は長くマイカー通勤していた頃、いつも「小沢昭一の小沢昭一的こころ」という番組を聞いていた。
 ちょうど帰宅時間の短い時間、サラリーマンのミヤサカお父さんの日常、悲喜交々な生活を、あの小沢昭一さんの喋りで毎日聞いていた。

 ユーモアもペーソスもいろいろ盛り込まれたミヤサカおとうさんのこころは小沢昭一さんという人の芸の幅広さを物語っていた。

 僕は、この頃人生がどことなく空虚だっただけに、この番組にはずいぶん癒された。
 少し暗くなった頃、庄内川の堤防道路の一本道を走るころに番組が始まり、「この続きは、明日のこころだぁ~」という言葉で終わる短い番組、僕は好きだったなぁ。

 4年ほど毎日聞き続けてきたが、あるとき番組の放送時間帯が変わって、それ以後は聞く機会もなくなった。
 数年前、偶然に「小沢昭一の小沢昭一的こころ」をカーラジオで聞いたのは、たしか午後の時間帯。
 毎日、毎日聞いていた頃の話の方から、すこし口ごもるようだったが、話の内容は昔とちっとも変らないと思った。

 小沢さんはほんとうに活動領域の広い人だった。
 映画にも脇役で出て独特の雰囲気をだしていた俳優業から風俗探究まで、「芸の道」だったのだろう。

 今、書棚に三冊の本がある「珍奇絶倫 小沢写真館」「平神傾聴裏街道戦後史 色の道商売往来」「小沢昭一がめぐる 寄席の世界」(いづれもちくま文庫)
 題名がしめすとおりの内容である。
 芸能が人の暮らしのなかの可笑しさ愛くるしさと、からみあって成り立っている(対談集のような本だが)、だから「サービス業」と自分を言えるのだろう。

 芸能界・国民的アイドル・大スター、芸能がビジネスライクとなって、庶民とのつながりもクソない芸能界を、淋しいものだと小沢さんは思っていただろう。
 かって言われた「芸能=河原乞食」論の雰囲気を持ち続けたのが小沢昭一という人だったように思う。

 だから、
 戦争だけじゃなく、経済にも、負けましょうよ。貧乏の国でいいじゃない。国の中の貧富の差がひどいのはお断りだが、みんなで貧乏になろうよ。今から四、五十年前ぐらいの貧乏になろうよ。
 ・・・・ええと、何の話だったっけ。 (レ痔ビアンショー「小沢昭一写真館」より) 

 小沢節の一節。戦争に負けた日本、「負けるが勝ち」という、負けたおかげで良くなったこともあると回想している一節である。
 失われて行く人情や人と人とのつながり、この本のなかでは、いろんな人とあらゆる風俗という名の人の営みについて対談している。

 新聞の記事を引用するなら「終戦による解放感を実感させてくれたのはストリップですよ。一枚一枚脱いでいく。これがほんとうの解放でしょう」そういう、謂わば裸の人間の生き様の対談である。

 まあ、女性からすると「身勝手な男社会のしがらみ」のように思われるかも知れないが、むしろ小沢昭一さんにとっては、真面目な芸能探究を通じて人のほんとうの姿を見出す分野だったのだろう。

 ちなみに、「日本の放浪芸」という訪ね歩く芸人の記録を集大成した著作(CD)もある。
 これは消滅してしまう日本の芸能を残しておこうという小沢さんの芸能探究の素晴らしさだと思うが、高額で手が出せないけど、欲しいものでもある。

 僕の好きだった小沢昭一さんのご冥福をいのります。
 

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コメント

小沢昭一さんの実家は東京都大田区西蒲田の写真館の息子だった。昔の地名は「女塚」。今でも「女塚神社」や「おんなづか小学校(何故か現在、平がなを使用)」で地名を残しております。

僕の通った蓮沼中学校や大森高校はそこから歩いて5分くらい。小沢氏の少年時代は、まだ蒲田に松竹撮影所があった時代。小津安二郎などが頑張っていた時代です。だから当時の映画に「蒲田」や東急線を思わせる駅が良く出てきます。当時の蒲田の雰囲気は映画にもなった松竹の社歌「蒲田行進曲」に良く出ています。

あ、今のJR蒲田駅のチャイムはこの「蒲田行進曲」です。

投稿: マミケン | 2012.12.12 16:52

こんばんは。
「小沢大写真館」の本の中で「下谷・根岸の御行の松のそば」に親父の写真館がり、その親父は仕事はあとまわしで、釣りに出かけ帰ればエンピツなめなめ川柳をひねっていたと書かれています。
この本にも小沢さんが撮ったヌード劇場の踊り子さんや看板・貼紙、下町情景がたくさん載っていて、もうこれは熱き探究心(笑)
とどまることのない情熱って感じです、そういうものが小沢昭一という人の個性をつくってるんだなぁと納得してしまいます。

投稿: ちょっと一休み | 2012.12.13 00:10

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