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2012.03.21

街の景観

3月21日(水) ときには街の真ん中で弁当を喰う

P1030102

 名古屋の白川公園にある名古屋市科学館のプラネタリュウム。
 二つの建築物に挟まれた、丸い球体が人目を惹く。
 たしかなんとか景観賞をもらった建物だったと思うが。

 最近は、街に自転車散歩に出かけると、この白川公園によく来る。
 昼どきには、途中のオフィイス街のあちこちで、昼の弁当の路上販売をしている。
 最安値は250円の弁当、平均は300円とか500円とかぐらいだ。

 弁当の品定めをして、僕もときどき買っている。
 ビニール袋に入った弁当を自転車のハンドルにくくりつけて、そのまま公園に直行する。
 お茶は持参するから買わない。
 公園の縁の石段やベンチに腰かけて、この丸い球体を眺めながら弁当を食べる。

 実に変なおじさんに見えるだろうが、公園がけっこう広いので、空も大きく広がって、そこに、あの球体が動きもせずにビルに挟まれているわけだ。

 そんな科学館の景観など、じつはどうでもいいと思っている。
 むしろ、街の中心街に大きな公園があって、昼休みのサラリーマンやジョギングする人や、デートする若者や、とにかく、そういう僕とは無関係な街の人の姿を眺めているのが面白い。
 人だけじゃない、鳩もカラスもいて、その鳥たちをこっそり狙ってるネコだっている。

 同じ敷地内にある名古屋市美術館の裏手の公園のベンチには、いつもくたびれた顔でごろりと昼寝する会社員や、読書する学生さんや、自転車でアルミ缶を回収し終えたおじさんたちもいる。
 立派な景観の科学館よりも、人の姿のある景観のほうが、僕はおもしろい。

 「男はつらいよ」の撮影も回を重ねた山田洋次監督が、その撮影場所を探すのに苦労した、町も近代化され昔ながらの町並みや風景がだんだんと失われてしまったと語っていた。

 きれいな街ができてきた。
 科学技術や建築技術の粋を集めた現代都市の様相は、子どもの頃モノクロアニメで観た「鉄腕アトム」のビルの合間の空中に浮かぶ高速道路の絵そのものになった。
 しかし、子どもの頃に夢見た未来都市の、あの超高層ビルも、幾重にも走る高速道路も、今ではちっとも好きになれないのだ。

 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

この場所は知らなかったなぁ・・「名古屋散歩」を描いている時だったら、確実に描いた場所だったなぁ・・・

高層ビルが好きになれないという感覚は手塚治虫にもあったようで、ヒゲオヤジは21世紀でも長屋に住んでいたりしました。観光用展望台ならいざ知らず、人間、そんなに高い場所に住みたいとは思わないと思うのですが・・・

投稿: マミケン | 2012.03.22 10:46

この球体プラネタリウムは去年の3月リニューアルオープンだったから、「続・名古屋散歩」でしか描けないですよ、ははは。
土があって、草花が咲いてる環境がいいですね。
そんな戸建ての住居を建てることが出来た時代から、ローンのマンション暮らしが普通になった都市生活。
田舎暮らしも世間のしがらみで夢の夢になってしまったから、せめてごく身近なところにある暮らしの良さを楽しみたいと思う近頃ですね。

投稿: ちょっと一休み | 2012.03.23 00:07

250円の弁当ってマージンいくらなんだろうね。材料費、人件費は?認知症が入ってきている両親(今年90と87)に月に一度会いに行って三方に連なる山を見るといつもこの変わらない風景に守られて育ったんだと思います。どんどん変わる風景は人を不安にさせる気がするけど、そう思うのは田舎育ちのせいかな。

投稿: 杉山 | 2012.03.25 00:08

ははは、シャケの切り身、ポテトサラダ、コンニャクの煮物、漬物、ご飯。どれも小さかった。
250円のうち材料費を引けば儲けは100円くらいでしょうか?
月一度でもご両親と顔を会せれば喜ばれるでしょうね。僕なんか兄弟が同じ町にいて、年に数回会うていどだったから、ちょっと後悔してる・・・
自然が身近にある暮らしはいい、どれほど近代的で便利なものが増えても、都会には目に見えない不安や空虚さがつきまとう。田舎者が感じる嗅覚みたいなものでしょうね、よく分かる気がします。

投稿: ちょっと一休み | 2012.03.26 00:07

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